Masaaki Wada (watercolor portrait by Jesus Guajardo)
作曲家 和田昌昭
Masaaki Wada
Composer
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サックスの打込み

第1回セミナー中に質問があったサックスの打込みについてです.

ピッチベンド

サックスの打込みで生演奏の雰囲気を出すために重要なのがピッチベンドです.音程を半音より狭い範囲で微妙に上下させてメロディーにニュアンスをつけます.

ピッチベンドを打込みで行うには,まず,サンプル音源のプラグインでピッチベンドを可能にします.Logic ProのEXS 24IIの場合,下の赤で囲んだ部分がその設定です.Pitch=5は,MIDIで半音±5個分までピッチを変化させられるという意味です.

その後サックスのMIDIリージョンでピッチベンドのオートメーションを書き込みます.(クリックで拡大)

オートメーションで音程の微妙なゆれを表現するわけですが,奏者が何年も練習して習得したニュアンスの表現に打込みで挑戦しようということですから,そんな簡単にはいきません.音楽感性を総動員して試行錯誤を重ねて自分独自の方法論を編み出して下さい.それが打込みにおける自分のオリジナリティということになります.

当然ながら,ベロシティーをどう設定して音の強弱をつけるかも重要です.Logic Proのウィンドウでは赤〜水色の色で表現されています.

トラックの設定

サックスのトラックは次のようになっています.

ポップスのサックスはリードの鳴り始めの部分を強調して演奏されることが多いです.これを打込みで表現するために,CompressorとOverdriveを重ねて用いています.

Compressorでは赤枠部分の設定でAttack=50msとなっているので,音量が閾値threshold=-21dBを越えた直後は圧縮されず,50ms後にはratio=2.9:1まで圧縮されるので,結果的に音の立ち上がり部分が強調されることになります.

Overdriveは音量が大きい部分を歪ませるエフェクトですが,これもバキバキ感を出すのに効果的です.

その他

イコライザでは1k〜2kHzあたりをかなり削っているようですが,それについてはよく覚えていません.

リバーブは名前だけでSax_Chamberという設定を使ったように思います.